とらの徒然

ネコ科のペンギン

2020-01-01から1年間の記事一覧

夢日記 20201127

木の香りが漂う古い旅館の中で、咀嚼音が響いていた。 半紙を前に跪き、筆も手に取らず、一心に何かを噛んでいる。 美味しい。 引きちぎり、噛み、飲み込む。 引きちぎり、噛み、飲み込む。 飽きることなく、一連の動作を繰り返す。 急に、閉ざされていた引…

就活と安寧(4)

前回↓ r-tryangel.hatenablog.com 最近、SNSで就活について呟く人が多い。 インターンに行く人、面接の対策をする人、公務員を目指して勉強する人、業界研究をする人、この時期に派手な髪色にして親に怒られる人、何もしてない人。 最後のはおれなわけだが。…

花束

女にとって、花束はどれほどの価値があるのだろう。 正直なところ、花束を携えて電車に乗っている女などは、幸せ者なのだろうと思っていた。 けれど、持ち主に取り残されたはなびらを見ていると、案外そうでもないのかも、と少し残念に思う。 ゆるやかな恋模…

ロリ

(21)を遠目で見ると、少し崩して書いた「ロリ」に見える。 おれは今21歳だから、とら(21)。ふむ。 つまり、21歳の人はロリを引き連れて生きているわけだ。 ところで、ロリとはなんだろう。 急に哲学的な話が始まって読者は混乱しているかもしれない。 だが、…

小説紹介(25冊)

① 砂漠(伊坂幸太郎) この一冊で世界が変わる、かもしれない。仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。麻雀に勤(いそ)しみ…

旅行記 箱根

朝。 白濁した露天風呂に浸かりながら、耳を澄ませる男がいた。 竹の壁の向こうで、ちゃぷんと水の音がしたのだ。 方角的に、そちらは女湯。 そろそろ身体も温まってきたから、部屋に引き上げようと思っていたのだが。 周囲を見渡す。 誰もいない。実質貸切…

就活と安寧(3)

前回↓ r-tryangel.hatenablog.com 就活だけが、おれの心の安寧を奪う。 4日間に渡るインターンを終え、存分に奪われてしまった。 一つ、わかったことがある。 おれに仕事は向いていない。 知ってたことではあるのだが、なんというか、やっぱダメかーってなっ…

お題『きみに恋したあの日から』ver.2

お題『きみに恋したあの日から』 条件[今日はいつもと違う匂いがするね/俺なら泣かせたりしないのに、なんて言えないけど/馬鹿だな、ってわらってくれたら]また例の企画です。なんとか条件をクリアします。 「今日はいつもと違う匂いがするね」 彼女の背を指…

お題『きみに恋したあの日から』ver.1

お題『きみに恋したあの日から』 条件[不安にさせないで/絶対に落としてみせる/どう足掻いても、結末は変わらないの] ランダムで選ばれた文字列を使って小説を書く企画です。素人なんで大目に見てください。 「あなたが誠実な人だってことはわかってるの。そ…

夢日記 20200715

寮のベッドにうつ伏せになって絵本を読んでいたら、彼から電話がかかってきた。 「海、来てよ」 「おっけ」 ぼくらはいつも、最低限の話しかしない。 飾られた言葉を必要としない関係をぼくは心から大切に思っているし、それは彼だって同じはずだ。 ぼくは絵…

就活と安寧(2)

前回↓ r-tryangel.hatenablog.com 言ってしまえば、就活は合コンなんだと思う。 複数人の人間が集まったとき、男は可愛い女の子がいないかを確認する。必ずだ。 運良く同じ班になれば、男はいっそう張り切ることだろう。 今日は、インターンで不動産の査定の…

就活と安寧(1)

就活が、いや就活だけだ。 おれの心の安寧を奪うのは。 でもなぜか、急にすべてがどうでもよく思える瞬間がある。 例えば、今とかね。 6月末から、インターンに向けて就活生が動き出す。 毎日ES提出やwebテストに追われ、面接のために東京まで出向いては、改…

バタックブラスト

6がつ13にち しんや3じ4ふん そうしんしゃ 匿名 あなたに質問が届きました! >>開く 「おっぱいとおしりどっちが好き?どんなのが好きかも教えて」 >>回答する 「ここでは語り尽くせないので今度ブログに回答すると約束しよう!」 非常に大きな問題だ。 きっ…

夢日記 20200512

外では陽気な音楽と、太鼓の音が鳴り響いている。 思わず小躍りしたくなる。時折聞こえる歓声も、テンションの高鳴りに拍車をかける。 この甲高い声は、小学生のものだろう。 踊っている場合ではない! 咆哮する四足の魔物。剣戟。金属音。走る爪跡をバック…

夢日記 20200413

「おいおい間に合わねぇじゃんか!」 「言ってる場合かよ!走んぞ!」 「おまえが待ち合わせ時間間違えたからだろがっ!」 電車から降り、改札を抜け、バス停へ。 澄み渡る青空。絶好の遠足日和だ。 そして、走るのには向かない。暑いから。 なーんて言って…

夢日記 20200109

文化祭の前日、ぼくらは準備をしていた。 今回の舞台が中学なのか高校なのか、はたまた大学なのかは定かではない。なぜなら双方のメンツが混在していたからだ。一つ、確実なことがあるならば、ぼくらが使う教室の構造が、家の近所のセブンイレブンと同じだっ…

夢日記 20200101

(うっわ、まーた定期忘れたよちくしょう) 駅の改札の前で、ポケットに手を突っ込んで呆然とする。現金で切符を買おうか迷った末、結局家に戻ることにした。学校に遅刻するのと無駄金を使うのを両天秤にかけた結果だ。時は金なりとも言うが、金もまた金なりだ…