とらの徒然

ネコ科のペンギン

就活と安寧(5)

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就活だけが、おれの安寧を奪う。
いよいよもって、冬期インターンの季節が到来だ。
ありがたすぎて涙が出そうだ。


おれは例のごとく、ESを書いては落ち書いては落ちと、学習能力のないサルのような行動を繰り返している。
いや、待てよ。
大学1年の頃、確か心理学の授業で「繰り返し行動は学習の基本」と習ったぞ。
ということは、おれがいつまでも進歩しない現状は、現在進行形でおれが学習しているという証明にならないだろうか。


とはいえ、いつまでも立ち止まっているわけにもいくまい。
現実問題、皆が足並み揃えて前進する中、流れに抗って立ち止まるよりかは、流れに任せてふらふらとついていった方が案外楽だったりする。


そんなわけで、おれもセミナーに参加したりインターンに参加したりしている。
企業を知れるのは悪いことではない。なんなら、世の中に転がっているどんな些細な知識でも、無駄なものはないと思っている。


例えば、自動販売機や信号機の仕組み、山手線の駅名、漢字の成り立ち、自分の街の用途区域、そこらに佇む鳥の名前、エトセトラ。日頃使っている100円玉でさえ、実物を見ずに柄を正確に思い出すのは難しい。毎日触れるものなのに理解できていないのは、なんとなく恥ずかしい気がする。なんとなく。知らんけど。


とか言いながら勢い余って、物騒な世界に片足を突っ込めば「兄ちゃん、知らない方がよかったなァ」てこともあるだろうが…。
怖。
真面目に生きよう。
真面目に就活します。はい。


セミナーを開催する企業が多い一方で、どういうわけか既に面接が始まっている企業もある。
日頃脊髄で会話しているからか、いざとなると脳みそが回らない。
お?おれは何を言ってるんだ?
となりながらも口だけが勝手に回っている。
不思議な感覚だ。
そんな調子でもなんとか一次面接を突破し、昨日、二次面接を経験した。


面接も二回目になると慣れてきて、他の就活生の話を聞きながら「おれだったらこいつは取らないな」とか、「その返答はイメージ悪くないか?」などと思う余裕が出てくる。
他の就活生というものは存外役に立つ。ほら、自分より緊張してる人見ると不思議と落ち着いてくるじゃないか。


それとわかったことが一つ。
資格やっぱ強え。
以前は、資格なんてクソの役にも立ちゃしねえ。フィラメントの切れた電球かよ畜生が。なんて思っていたけど、面接官は案外食いついてくるものなのね。
「2年生の頃に資格を取ってらっしゃいますけど、この頃からこの業界を志望していたんですか?」
なんて聞かれたりする。
同時刻に世界中を探しても、おれほどドヤ顔してる人はいなかったんじゃないだろうか。


まるで大成功を収めて順風満帆!と言わんばかりの書き方だが、実は全くそんなことはない。
実はこの企業、SPIでヤラカシをしている。
テストを一問目から間違えたのは……まだいいのだが、最後の性格診断で「よく当てはまる」と「全く当てはまらない」の位置を真逆に勘違いしてたのね。
つまり、「よく当てはまる」と答えなければならないところを「全く当てはまらない」と答えてしまい、逆もまた然り、というワケよ。


徹頭徹尾勘違いをしていたのなら、単におれが情熱的でリーダーシップと独創性に富んだ、ちょっと自信過剰なヤツっていう評価になるだけだからよかったんだけど、途中で間違いに気がついたせいで、序盤と終盤で真逆の回答になっちまったのさ。
あっれぇ?
こいつ最初はリーダーシップあるって言ってるのに後半は補佐役が向いてるって言ってるぞ?矛盾してね?
と、今頃は思われていることだろう。


SPIの性格診断は、その人がどういう人間かは実はあまり見られていなくて、きちんと一貫性がある回答をしているかを見られているらしい。
つまり、まあ、なんだ。


おれは一番やっちゃいけないことをしたわけだ。


まあ……うん。
そうだな。
おれの安寧は、いつだって画面の中にあるんだ。


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